Tudor style

チューダー・スタイル(1485~1500年)

チューダー朝時代に建築された建物のスタイルを指します。

外壁に染材をあしらった白黒(または茶)の外観の建物が有名で、日本でもこの特徴を取り入れた家が良く見られます。

またこのチューダー・スタイルの建物の中でも、2階以上の部分が1階よりも張り出した「オーバー・ハング」というデザインの外観を見たことのある方も多いのではないでしょうか。この張り出した部分は「Jetty(ジェティ)」と呼ばれます。

この時代、煙突は富のアピールとしてデザインされることが多く、上部にいくほど装飾的に、又は太くなっていく形状が好まれました。

その他の外観の特徴として玄関ドアが挙げられます。この時代の玄関ドアは中世に多用されたゴシック・アーチやチューダー・アーチと呼ばれる先の尖ったアーチ型のデザインが多用され、教会のような厳かな雰囲気を醸し出しています。時には室内ドアにもこのゴシック・アーチやチューダー・アーチが取り入れられ、アーチではない四角いドアの場合も縦板張りの Ledged Door(レッジド・ドア)など、どこか厳めしさのあるデザインが特徴です。窓は縦長で、細かく仕切られた鉛や鉄の格子に小さなガラス板が一枚一枚はめ込まれていました。これは大きなガラスを製作する技術が当時はまだ無かったことに起因しますが、独特の趣を生んでいます。

インテリアは漆喰壁をメインに、ホールやお気に入りの部屋にはオーク・パネリング(壁をオークの板で覆う)を施して、寒さ対策とともに美的要素を加えていました。

このパネリングでは縦横に格子を組んだデザインが一般的ですが、中には「Linenfold(リネンフォールド)」と呼ばれる布を折り畳んだような優美で凝ったデザインの彫刻が施されたパネリングも登場しました。同じチューダー・スタイルでも位により内装仕上げは異なり、貴族クラスの家の暖炉は玄関同様にチューダー・アーチ型に石材をくり抜き、その上部に紋章の掘られた手の込んだデザインでしたが、一般の家の暖は開口上部に太い梁材を使った簡素なものでした。