Regency Style
リージェンシー・スタイル(1811~1837年)

リージェンシーとは、英国の摂政期(せっしょうき)のことで、英国王ジョージII世が1811年に病に倒れ、長男のジョージⅣ世が代わって政治を行った期間(1811~1820年)の事を指し、ジョージⅢ世の死後、正式に在位した1820-1830年を足した期間(1811~1830年)の様式を「リージェンシー・スタイル」と言います。名前の由来は、ジョージⅣ世が「Prince Regent(プリンス・リージェント<摂政皇太子>)」と呼ばれていたことから名づけられました。
建物の外壁は、スタッコ(塗り壁)仕上げが基本で、1階部分に石積み調のラインが入っています。窓はジョージアン・スタイルに引き続き上げ下げ窓が使用されていますが、リージェンシー・スタイルでは、丸い曲面の壁に窓の付いた「Bow Window(ボウ・ウィンドウ)」が新たに多用されました。レイト・ジョージアンで流行した巨大なピラスター(付け柱)も引き続き好んで使用され、これらにより、ジョージアン・スタイルにさらなるエレガンスが加わりました。
また、外に出られる奥行を持つアイアンのバルコニーはこの時代に生まれました。写真のような屋根付きのタイプも登場し、「Pagoda-style(パゴダ・スタイル)」と呼ばれています。これは中国から影響を受けたデザインで、どことなくオリエンタルな雰囲気を醸し出しています。
インテリアは、新古典主義建築をベースに、フランスやエジプト、中国といった異国のデザイン要素をより多くミックスしたインテリアになっています。例えばフランスのゴールド使い、スフィンクスなどエジプトモチーフを取り入れた家具、オリエンタルなシノワズリ柄の壁紙などです。装飾アイテムとして円形の凸面鏡「Convex Mirror (コンヴェックス・ミラー)」も流行し、ホールや階段の壁に飾られました。また、淡い色使いのジョージアン・スタイルに比べるとインパクトのある使いが好まれ、さらに大理石の流行に伴って壁や柱、モールディング等に塗装で大理石を模した石目が描かれました。