Arts & Crafts Style
アーツ&クラフツ・スタイル(1880~1910年)

1837~1901年のヴィクトリア朝の建築スタイルです。この時代は多様な建築様式の復
興の時代で、「Revivalism (リヴァイヴァリズム)」と呼ばれ、「Gothic(ゴシック)」、
「Queen Anne (クイーン・アン)」、「Jacobean(ジャコビアン)」など、過去の建築様式の魅力と特徴が甦りました。
特にゴシック・リヴァイヴァル様式(別名:ヴィクトリアン・ゴシック)は英国中に広まり、有名な建物ではビッグ・ベン(現:エリザベス・タワー)がある英国国会議事堂やセント・パンクラス駅ホテル(2011年改装)がその例で、尖頭アーチの開口部、塔、ねじれ煙突などが特徴です。建物の形状は、左右対称の箱型が基本のジョージアン・スタイルに比べて大分自由になり、左右非対称や凹凸も多くなりました。内外ともに装飾も多く、華やかに魅せるデザインを家ごとに取り入れています。
例として、①ゴシック・スタイルの玄関ポーチ、②アイアンを使った玄関ポーチ、③波形、レース模様のバージボード(飾り破風)、④ブリックや石、タイルによる装飾や色分け技法、⑤屋根のトップのアイアン棟飾りや瓦の棟飾り、⑥台形出窓、①デザイン貼りされたヴィクトリアン・フロア・タイルなどがあり、これらはブリティッシュ・ヴイクトリアン・スタイルの典型的なポイントでもあります。
またドアのデザインにも特徴があり、ジョージアンでは 6枚パネルでしたが、ヴイクトリアンでは4枚パネルのデザインになりました。4枚のうちの上の2枚または上半分がステンドグラスになっているデザインや、ゴシック・アーチ型(頭形)のドアも使われ、塗装の色も赤やグリーンをはじめとするヴィヴィッドカラーが多く鮮やかなファサードを演出しています。窓は台形に張り出した出窓が好んで用いられ、インテリアの魅力はもちろん外観に凹凸が出て華やかな印象になっています。ヴイクトリアン・スタイルの建物は切妻屋根とともにコテージスタイルにも似合い「ピクチャレスク」とも表現されています。