Georgian Style

ジョージアン・スタイル(1714~1811年)

1714~1811年、ジョージI世〜Ⅲ世までの期間に建てられた建物を指します。少し複雑な英国建築様式の中でも、この「ジョージアン」には聞き覚えのある方は多いのではないでしょうか。

シンメトリー(左右対称)を基本とした洗練されたデザインが特徴で、ペデイメント(三角形の切妻壁)、ピラスター(付け柱)等ルネサンスの影響を受けた古典的な装飾要素を多く含んでおり、シンプルながらも上品でクラシックな印象が強く、日本でも特に人気の高いスタイルです。

ドアは6枚パネル型デザインが基本で、玄関ドアの上に半円や長方形のファンライト(欄間窓)が付いていることも多く、その格子デザインは実に様々で道行く人を楽しませてくれます。使用された主な窓はダブルハング(上げ下げ窓)で、これに加えてアーチ型、ラウンド型(円窓)、オーバル型(楕円窓)、そしてヴェネチアン・ウインドウと呼ばれるコンビネーション窓(中央のアーチ窓の左右に背の低い長方形の窓をセットした3つの窓から形成された窓)が使われました。この時代に多用された2大モールディングは、歯型の Dentil Moulding (デンティル・モールディング)と卵と矢のデザインのEgg & Dart Moulding (エッグ&ダート・モールディング)です。

また床のデザインでは、白系の石の四隅に黒い小さな石があしらわれた組合せが流行し、ライムストーンや大理石、スレートなどの石材が使用されました。階段のデザインにも特徴があり、最初の1段目の手摺が渦巻状のデザインから始まるスタイル(オーバー・ザ・ポスト・スタイル)が多用され、ホールに優雅なアクセントを与えました。ジョージアン後期になると、建築家ロバート・アダム(1728-1792年)が大活躍し、英国中のクライアントを魅了しました。その繊細且つ上品なインテリアデザインはシャーベットカラーと石膏細工を巧みに使った芸術作品で、同時代に活躍したウェッジウッドの作風にも共通しています。